胃潰瘍2 原因と治療
原因
胃潰瘍はさまざまな原因で、胃の攻撃因子と防御因子のバランスが崩れることでおきます。急性胃炎をおこすような因子はすべて胃潰瘍の原因となります。
具体的には攻撃因子として次のようなものが挙げられます。

- 胃酸が過剰に出る
- ストレス
- 細菌やウイルスの感染
- 薬剤、とくに消炎鎮痛剤
- 暴飲暴食
- 喫煙
- ピロリ菌感染
慢性の全身疾患(心不全、腎不全、慢性肝炎など)も胃酸過多の原因となり、胃粘液の分泌をおさえて潰瘍の原因となります。
治療

胃潰瘍の治療は基本的には内科薬物治療です。生活習慣を改善し、消化の良い食事をしたり、絶食にして胃の安静を保ちます。食事がじゅうぶん取れないときは、点滴で脱水を補正します。
いまでは強力な制酸剤のおかげで、ほとんどの胃潰瘍は薬で治るようになりました。ピロリ菌の感染があれば、除菌療法を行いますが、主として使われる薬はやはり
- 制酸剤=胃酸をおさえて攻撃因子を弱める
- 胃粘膜保護剤=胃粘膜を保護し防御因子をふやす
- 胃腸運動調節剤=胃腸の運動のバランスをとる
合併症
薬がすばらしくなった今でも、胃潰瘍の治療中に難渋する合併症があります。すなわち、
- 出血=潰瘍部より多量の出血をきたす
- 穿孔=潰瘍が深くなり、穴が開いて腹膜炎となる
- 狭窄=瘢痕(はんこん、ひきつれのこと)のため狭くなる

これらの合併症は、むかしはすべて手術の対象となりました。いまでも穿孔した場合は手術をしなければなりませんが、出血には内視鏡での止血術が長足の進歩をとげています。狭窄についても内視鏡で拡張する試みもあり、外科医の出番は確実に減ってきています。
しかし、合併症をおこすと入院も長期となり、治癒に時間がかかります。まず胃が痛みはじめたときに、胃腸科で診察をうけ、早期に診断し、治療を開始することが第一です。