急性胃炎1 概説と症状

胃の攻撃因子と防御因子

胃の病気、とくに良性の急性胃炎、慢性胃炎、胃潰瘍を説明するときには、攻撃因子、防御因子で説明されます。

胃酸は食べ物も溶かす強い酸性ですので、胃粘膜もそのままでは消化されてしまいます。つまり、胃酸そのものが、胃粘膜を攻撃する因子です。

一方で、胃粘膜はその表面から粘液を出して自身を保護し、胃酸から防御しています(防御因子)。この攻撃因子、防御因子のバランスが崩れることが、胃炎や胃潰瘍の原因とされています。

このうち急性胃炎は、種々の原因でおきる胃粘膜の急性炎症です。急性胃炎の多くは、防御因子が弱くなることより、攻撃因子が強くなることが原因となります。典型例を提示します。

症例

男性、45歳サラリーマン。中間管理職でストレスが多い毎日。タバコは日に2箱。

ふだんより生活が不規則で、暴飲暴食もたびたびあり、アルコールや刺激物も大好物。朝から風邪気味で、風邪薬や熱冷ましを服用していた。接待で焼き肉屋へ行き、ビールを飲み、帰宅する。

夜半より上腹部に不快感、吐き気があり目が覚める。トイレで数回戻したあとも腹痛、吐き気が繰り返しおこり、まったく改善しない。発熱、下痢はない。やがて朝方になり、吐物に血が混じるようになり、あわてて胃腸科を受診した。

急性胃炎の具体例

診断のポイント

ふだんからストレスが多い、タバコをよく喫う、酒や刺激物が好きなど、胃が悪くなるような生活習慣をもっている。しかし、ふだんは胃の症状も訴えが無く、もともとは胃が丈夫そうである。

このような患者さんが、薬を服用したり、焼き肉など消化が悪そうな食事をしている。その後に、急に発症した上腹部の痛み、吐き気や嘔吐がくり返しおきている。

検査

急性胃炎の検査

以上の病歴から、急性胃炎がもっとも疑われますので、血液検査と腹部単純レントゲン検査をまず施行します。また、胆石症や急性膵炎の可能性を否定するために、腹部超音波検査も有用です。吐き気や嘔吐が続くときは、バリウムの検査は行われません。

吐いたものに鮮血が混じったり、繰り返し嘔吐が続くときには、内視鏡検査を緊急で行うこともあります。内視鏡は出血の部位を確認すること、大きな胃潰瘍や出血性胃炎をおこしていないかどうか、を確認するためです。

吐き気などの症状が強いと、内視鏡検査もつらいことが多く、十分な観察ができません。症状が少しでも改善していれば、体調が回復してから検査をするほうが、確実な検査ができます。

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