胃ポリープ1 概説と症状
ポリープとは消化管の粘膜の表面が、こぶのように膨れた状態を指します。胃の場合にかぎらず、腫瘍性のもの、炎症性のものなど、いろいろな種類があります。隆起型の早期胃癌はここでは省き、別項で解説します。
胃のポリープの特徴は、非腫瘍性のポリープが多く、放置しても癌に変わらないものがほとんど、という点です。ですから、基本的には内視鏡診断、組織診断がしっかりついておれば、治療を要さないものが多いのです。
症状が乏しいので、良性ポリープの殆どは健康診断のバリウム検査で見つかります。典型例を提示します。
症例
女性、40歳 専業主婦。喫煙習慣なし。飲酒は月1回ほど、ビール一杯だけ。父親が胃癌で手術を受けたことあり
今はまったく胃症状なし、食事もよく食べられる。むしろ最近は体重が増加気味で、メタボリックシンドロームが心配な今日この頃である。
40歳になったのを機会に、市民検診をうけることにした。血液、尿検査は正常だったが、バリウムの胃検診で胃に複数のポリープを指摘された。父の病気のこともあり、心配になってあわてて胃腸科を受診した。
診断のポイント
ふだんは胃の症状も訴えが無く、もともとは胃が丈夫そうである。父の胃癌という家族歴はあるが、多発胃癌はバリウムでわかるようなものは少ない。
また、40歳という年齢、女性、多発という点からは、後に述べる「胃底腺ポリープ」の可能性が高い、と思われる。
検査
以上の病歴から、良性胃ポリープがもっとも疑われますので、胃の内視鏡検査です。血液検査(腫瘍マーカーなど)では、良悪性の鑑別ができません。内視鏡で代表的なポリープの組織の一部を採取し、病理学検査に供します。
なお、ポリープは種類によって単発のもの、多発するものがあります。単発のもので大きなものや出血するものは、ポリープ全体を焼き切り摘出することもあります。