急性胃炎2 原因と治療
原因
急性胃炎など胃の良性疾患は攻撃因子、防御因子のバランスが崩れることで発症します。
攻撃因子がつよくなる原因には、不規則な生活、アルコールや刺激物などの多量摂取、薬の副作用、ストレス、細菌やウイルス感染、タバコなどがあげられます。胃粘膜の血流が悪くなることで防御因子も弱くなります。
内視鏡の消毒法が十分に確立していない昔には、内視鏡検査を受けた後で急性胃炎になる人がいました。おそらくは内視鏡を介したピロリ菌感染が原因だった、と考えられています。(今では安全な内視鏡消毒法が普及していますので、内視鏡でのピロリ菌感染はおこりませんのでご安心を。)
治療
急性胃炎の多くは、数日で自然治癒することも多く、慢性化することはあまりありません。ただし、原因がとりのぞけない場合は、たびたび急性胃炎をくり返すことで、慢性胃炎になるので注意が必要です。治りが悪いとき、程度が強いときは自己判断せずに、胃腸科や消化器科で診察を受けましょう。
薬剤性など、原因が推測されるときは、まずその薬を止めることが第一です。その上で、消化のよい食事を取って安静にすれば、程度がかるい急性胃炎なら治ります。腹痛が強いとき、嘔吐が強く食事がすすまないときは、1日絶食にして胃薬を投与します。ただし、水分は少しずつ補わないと、(とくに下痢や発熱なども伴う感染症による場合は)脱水になるおそれがあります。あまり冷やしていないスポーツ飲料を少しずつ摂取するのがおすすめです。
嘔吐がさらにひどいとき、痛みがつよいとき、吐いたものに血が混じるときは点滴をして脱水を補正した上で、精密検査が必要です。程度に応じて、入院が必要となる場合もあります。
胃炎、胃潰瘍でよく使われる胃薬は三種類です。
- 制酸剤=胃酸をおさえて攻撃因子を弱める
- 胃粘膜保護剤=胃粘膜を保護し防御因子をふやす
- 胃腸運動調節剤=胃腸の運動のバランスをとる
急性胃炎では、このうち制酸剤と胃粘膜保護剤を主に用います。これらに加えて、胃の痛みを抑える鎮痙剤(胃のけいれんをおさえる薬)や止血剤、抗生剤を使うときもあります。